心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
あえて雨の中を
2006-06-22 Thu 20:59
花屋の軒下で、おばあさんは雨が下火になるのを待ち続けていた。
けれども、雨は呪いのかかったワインのように永遠に凄みをましていくばかりだった。
おばあさんは、意を決したかのように傘を開くと忍者足で雨が遊ぶ歩道を歩き出した。
傘の中で咲き乱れる花たちも、今は雨の中に寂しく萎れて見えていた。
猫は、窓の外を見ながら、心配そうにおばあさんの帰りを待ちわびていた。
その横顔は、雨粒よりも小さく見えた。


わざわざ雨の中を
出かけていく

新しい傘を開くために
トコトコとテクテクと

ここから一歩抜け出すために
この激しい雨の中を
私は歩いてる

ざわざわ雨の中を
見つめていく

新しいあなたに逢うために
ノコノコとトボトボと

ここより一歩踏み出すために
この狂おしい雨の中を
私は歩いてる

すべてをかき消す雨粒の中で

あなたは
ずっと下を向いたまま
消えることなく

雨に生きながら
何かを待っている

ずぶ濡れでもかまわない
厚みを増していく雲の下で
あなたにもう一度逢うために

あえてこの打ちつける雨の中を
私はもう歩き出した

歩道を流れつたう雨と共に
伝わる気持ちも流れ行き

だから打ちつける雨の中を
あえて激しい雨の中を

見えなくてもかまわない
傘から零れ落ちる雨と共に
私も零れそうになりながら

あえて狂おしい雨の中を
あえて打ちつける雨の中を
私はもう歩き出した

トコトコとノコノコと
この激しい雨の中を

あえて打ちつける雨の中を
私はもう歩き出した

別窓 | 猫と婆とそんな横顔 | コメント:4 | トラックバック:0 |
| 猫と婆とそんな横顔 |