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2006-05-29 Mon 03:54
「じゃあ、留守番を頼んだよ」
猫に言葉を残しておばあさんは出かけていった。 けれども、気がつくとおばあさんの押し進めるシルバーカーの上に、猫は何事もなかったかのように佇んでいる。 雲の厚みも色も、東の空から急激に濃く増していくのを見て、おばあさんは不安を募らせた。 「ちょっとここで待ってなさい…」 そそくさと家に戻ったおばあさんは傘立の中の一本の傘に手を伸ばした。 なぜだろう、その瞬間、おばあさんの手の甲に猫の右手が乗っかった。 「じゃあ、留守番を頼んだよ」 猫に言葉を残しておばあさんはまた出かけていった。 けれども、気がつくと猫はシルバーカーの上に丸まって、雲の動きを見守っていた。 その横顔は、灰色の傘地蔵のように言葉なく穏やかだった。 私は傘を持ち出したんだ 使うことはなくっても 私はそれでいいと思う 雨は降ってはないけれど 私は傘を持ち出したんだ 開くことはなくっても 私はそれをいいと思う 雨は一瞬も 落ちてこなくても 誰も君を手にしてなくても 重荷になんか感じないよ もしもその時がきたら 君は頭上で咲き笑い 赤く広がる花びらで 黒い涙を弾き散らす だから君をつれてくよ 君がいると安心なんだ 雨は一滴も 落ちてこなくても 誰もが両手を開いていても 閉じた君をつれて歩くよ もしもその時がきたら 君は空と私の間に入り 容赦ない乱れ滝から 私を守ってくれるから だから君と一緒だよ 君がいないと心配なんだ ひと時も降ってこなくても 何時も君を手放さないよ 空一面が澄み切って 晴れ晴れ嵐がやってきて みんなが君を馬鹿にしても 君を置いてはいかないよ |
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