心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
ポタージュ
2006-05-14 Sun 18:01
何度も何度も、おばあさんは何度も念入りに、特製のスープを混ぜ合わせていた。
それは、猫の目から見れば、強力な悪霊を払うために魔力に満ちた杖を手にして戦っている年老いた霊媒師のように見えた。
ようやく戦いを終えたおばあさんは、小さなカップに自分の分を、小さなお皿に猫の分を用意すると、顔の前に置いてあげるのだ。
「さあ、温まるよ…」
けれども、猫は目の前に提出された現実を、それがどんなにおいしいスープであったとしても、すぐには飲めこめないものなのだ。
じっとスープから沸き立つ湯気を、人魂を見るように見つめていた。
その横顔は、夏を見つめる雪女のように冷ややかだった。


傾いた階段の上で
ポタージュを飲みながら
グツグツと コトコトと
ミルクは溶け込んで
コーンは浮かぶ
想い出も浮かぶ

傾いたガラスの中で
ポタージュを飲みながら
コツコツと 切々と
二度三度煮込まれて
コーンは甘く
カーンは恐い顔

たっぷり温まる
勇気は水から湧いてきて
今日が胸を
また通り過ぎていく
冷え切ったカップから
コーンはバラバラになって
冷め切ったカップから
コーンは散り散りになって
昨日に飛んでいく

想いは淡く溶け込んで
可愛い白鳥のように
コーンは浮かぶ
春は白く溶け込んで
紙くずの雪のように
言葉も散った

どうか
もう一度温めて
温もりだけをもう一度
バラバラの想いを
元ある場所に
注ぎ込んで

だからずっと
ずっと冷めないで
あの温もりを
二人限りで

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