奇跡
2006-05-11 Thu 19:37
同じ場所を何度探してみたところで、結局同じことではないだろうか?
「確かにここにあったはずなんだけどね…」
昨日までは…
蜂蜜を探す熊のように、引き出しを何度も開け閉めして、おばあさんは、猫に意見を聞くように視線を投げかけた。
けれども、猫はテーブルの上に寝そべったまま、身じろぎ一つしなかった。
猫は、自分の居場所があったことで、今は満足しているようだった。
散らかった引き出しの方を、無関心に見つめていた。
その横顔は、無関心を装った侍のようだった。


私は土だった
今はなぜか
いるはずのない場所に
来ている
ここは無だった
今はなぜか
あるはずのないものに
出会えている
これが自然の成り行きか
これが単なる日常か

私は泡だった
今はなぜか
いるはずのない場所に
こうしてやって来た
元は無だった
今はなぜか
あるはずのないものたちに
こうしてめぐり合っている
これが自然のからくりか
これが単なる繰り返し

私は何かだった
そして今は

理由を探すには
あまりに複雑で
理由を決めるには
あまりに単純で

いるはずのない場所の中
あるはずのないものたちが
たしかに私を満たしている

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