心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
蜜蜂の恋
2006-05-02 Tue 01:15
悪魔に追い立てられるようにして、猫はおばあさんの家の中に逃げ込んできた。
テーブルの上に飛び上がり、椅子から床に駆け下りて、今度はテーブルの周りを駆け回る。
それでも針を隠し持った虫は、追撃の手を緩めることもなく、猫は猫で逃走の足を緩める余裕も、
なかった。
おばあさんは、2メートルもある長い棒のついた虫取り網を持ってきて、猫を助けようと狂ったように振り回した。逃亡者と追跡者の動きがあまりに速かったため、おばあさんの目はすっかり回り、肩で息をついていた。
蜂の巣をつついたような馬鹿騒ぎの中で、ようやくおばあさんの網が獲物を捕らえたかと思われた。
けれども、網の中に納まったのは全体的な猫だった。
猫は網の中で、背中を丸め捕らわれの猫となった。
その横顔は、無実の逃亡者のようにヒゲを生やして途方に暮れていた。


生まれて間もない朝の中に
小さな花が ぽつんと一つ
さじ加減一つで甘くなった
空からの贈り物のように
緩やかな存在は
秘密の蜜を持ち寄って
罪を二人で積み上げた

生まれて間もない森の中で
小さな虫が ぽつんと二匹
手加減一つで罪になった
空からの預かり物のように
許されない存在は
秘密の蜜を貢いでは
一つの罪を分け合った

蜜蜂は見つめ合う
空から地上を見下ろすように
甘い言葉を紡ぎ合い
虫の鳴く声で透き通る恋で

空っぽの夜がやってきて
空の真ん中に 星ひとつ
もう二人の巣も
空っぽになった

月から地球を見守るように
蜜蜂は見つめ合う
甘い言葉を紡ぎ合い
虫の鳴く声で好きと言える愛で
さよならと告げた

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