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2006-04-29 Sat 20:20
猫の中で、おばあさんは折り紙職人の神様と呼ばれていた。
春の風と月の明かりが優しく射し込む部屋の中、職人のように手馴れた手つきで緑色の紙を折りあげると、瞬く間に猫ができあがった。 緑色の猫は鳴き声も上げずテーブルの上に座り込むとじっと猫の方を見つめている。 おばあさんは、青色の紙を川の流れのような手つきで折りあげると、瞬く間に千羽鶴ができあがった。青色の鶴は平和の願いを込めながら、窓の外の白い月を見上げていた。 折り紙職人は、赤色の紙を胸いっぱいの愛を込めるような手つきで折りあげると、瞬く間に紙飛行機が織り上がった。 猫がふっと息をかけると、赤色の紙飛行機は窓の外へ飛び立った。 月へ向かう赤い翼を、猫は好奇の目で追っていた。 その横顔は、折り紙の猫に似て緑がかっていた。 折られ投げられ 折り合いつけて流れてく 空の中で枠には収まらず 行き先も定まらず 人は紙飛行機のように 折り合い投げ合い 折り重なって飛んで行く 風の中で楽には収まらず 行き先も定まらず 上に上がったり 時には後ろに下がったり いつも風の悪戯に 振り回されてしまうから 行き着く場所さえわからない 人は紙飛行機のように 寄り添って 寄り重なって飛んで行く 僕らはみんな紙切れではあるけれど それなりの自由がある 飛んで舞って弧を描いたり 沈んで待って夢を描いたり いつも神の悪戯に 振り回されてしまうから たどり着く時さえわからない 僕らはみんな紙切れではあるけれど それなりの意志がある 人は紙飛行機のように 当てのない空の中を 儚い翼で飛んでいく 風に乗って進んだり 風に戻され休んだり 飛んで舞って いつかは落ちていく 僕らはみんな紙くずにはなるけれど それまでの自由がある 人は紙飛行機のように 当てもない空の中を 儚い翼で飛んでいく |
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2006-04-29 Sat 10:17
空を包み込んでいくのは、灰色の不安だろうか、それとも色を失った翼だろうか?
猫には、空の変化が世界を今にも劇的に変えていくように思われた。 けれども、空の大きさは猫が思うよりもはるかに大きく、この街の上の空の表情がいとも簡単に世界を変えていけたなら、世界はとっくに大きなまとまりを生み出していたかもしれない。 そして、猫はこの街の片隅にぽつんとひとり佇んでいた。空の様子を気にかけながら…。 やがて猫の期待に答えるように、雲が雨粒に形を変え始めると、猫は目を丸めて、息をもらした。 その横顔は、船底で花火を見つめる子猫のようだった。 クジラの流す 涙のように 大粒の雨は あなたの胸に 突き刺さりそうだ 今にも雨は あなたの消えた 空のように 瑠璃色の雨粒は 私の中に 流れ込みそうだ 炎の空から 降り注ぐ 邪悪な聖水のように 今にも雨は 私の中で 溢れ出しそうだ |
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| 猫と婆とそんな横顔 |
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