ひび割れて
2006-04-28 Fri 21:20
白く丸い形をした物体は、鍋のもたらした高揚の中で最後の時間を過ごしていた。
おばあさんは、ストップウォッチを持つこともなく、のんびりと椅子に腰掛けてテーブルに肘をついている。
夕焼けの消えていく夕暮れの中で、おばあさんの食卓を飾るのはどんな卵料理だろうか?
そして、そんな料理にふさわしいワインとはどんなものだろう…
けれども、驚いたことにおばあさんの家には一本のワインもなかった。
その時、おばあさんに7分の経過を知らせるように、猫が鳴き声をあげた。
その横顔は、ロスタイムを失ったタイムキーパーのようだった。


古い酒をあおるように
小さなたまごが揺れている
ほんのわずかの間違いで
ひび割れて
眺めていても戻らない
ひび割れながら回り続ける

古い坂を下るように
小さなたまごが落ちてくる
ほんのかすかな手違いで
ひび割れて
忘れていても戻らない
ひび割れながら回り続ける

黒い雲に覆われて
ひびは日に日に大きくなって
恐竜たちが滅んだように
ひび割れながら
日々揺れながら
回り続ける

白い塩をかけても
優しい言葉をかけても
君だけ主役の世界は
もう元には戻らない

みんながみんな
日々揺れながら回り続ける

厚い空に覆われて
ひびは日増しに大きくなって
小さな大陸が沈んだように
ひび割れながら
日々揺れながら
私もその中で
回り続ける

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