心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
詩に飢えた狼
2006-03-20 Mon 11:58
気がつくと、猫は無数の一匹狼の中に囲まれていた。
それは狼の群れではなく、それぞれに一匹ずつであり、無数という中では、ありえないくらいに互いに背を向けていた。
無数の遠吠えが、無数の一匹狼のアゴの中で韻を踏んでいた。
その圧倒的な光景の中では、猫も仕方なく猫の遠吠えをしてみせるしか生きる道はないのだ。
猫は、耳を緊張させながら、狼のように叫んだ。
けれども、その声は、セミの合唱の中に入り込む、さおだけ屋のブルースのように響いた。
その横顔は、シャンソンを歌うフクロウのようだった。


詩に飢えた 狼が野を駆ける
狭い巣穴を 抜け出して
聞き耳立てて 駆け回る
蜜を求める蝶のように
時を越えるイルカのように

詩に飢えた 狼が街を駆ける
血に飢えた 蛮人に追われて
癒しを求めて 駆けてくる
うそのように 逃げ出して
三日月の 足りない色を
言葉で 埋める

詩に飢えた 狼が夜を駆ける
喉は 言葉によって渇く
詩を求め 何度もそこに駆けてくる
星のように 近づいて
満月の 欠けた部分を
言葉で 満たす

詩に飢えた 狼が詩を駆ける
水を求める絵の具のように
絵になった鳥のように
ただ 詩を求めて

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