最初の最終電車
2006-03-19 Sun 10:13
すべての列車が通りすぎたホームで、活躍するのは猫だ。
酔っ払いの残していった、鞄、財布、靴といった物たちを駅長のとこまで届ければ、その代わりに、面倒見のいい駅長は、猫のために冷たいスープと暖かい毛布を用意してくれるのだ。
猫はいつものように、ベンチの上に横たわった酔っ払いのズボンから器用に財布を抜き去った。
その瞬間、男は死体が起き上がるように一瞬正気に帰り、猫の方を見たようだった。けれども、猫が無言のまま目を牙のように光らせると、男は死体のように元に戻った。そうして、無事に獲物を持ったまま駅長室に入ると、そこでは駅長も眠っていた。
仕方なく、猫も一眠りしはじめた。財布を枕に…。
その横顔は、正面を向いた光り列車のようだった。


もしも私の部屋が
13番ホームだったら
朝に乗り遅れることは
ないでしょう
もう毎日のように
遅れることも
ないでしょう
けれども私は
ただ乗り遅れない
ためだけに
自分を犠牲には
できないのです

もしも私の部屋が
24番ホームだったら
始発のベルが
私に出発の時を
告げるでしょう
けれどもそれは
私の旅立ちの
時とは違うのです
私は乗り遅れることを
選ぶでしょう

乗り遅れ 乗り過ごし
また乗り遅れるでしょう
乗るべき列車
乗るべき時は
自分で決めて
旅立つのです

別窓 | 猫と婆とそんな横顔 | コメント:0 | トラックバック:0 |
| 猫と婆とそんな横顔 |