哀しいハッピーエンド
2006-03-02 Thu 08:56
二人はそれから一生の間、仲良く暮らしました。
いつまでも…
「めでたし、めでたし」
おばあさんは、物語を読み終えると静かに本を閉じテーブルに置いた。
結末は幸福なのに、猫は物語の結末を素直には喜べなかった。
素直に喜ぶということが、いかにも自分らしくないと思ったわけではない。
ただ、いつまでも物語の中で、おばあさんの声の向こうの世界の中で、夢見心地でいたかったのだ。
まるでそこに本当の自分の住処があるかのように…。
猫は、うまい話に乗るようにテーブルの上に飛び乗ると、閉じられた本の上を、
カリカリとひっかき始めた。
それは、魔女によって閉ざされたお姫様の心を、ひっかいているように見えた。
その横顔は、果てしない行き止まりの中で白昼夢をみる人魚のようだった。


はじまりは 悲しいハッピーエンド
これが最初で最後
あなたは そう言ったから
そして 終わりは
終わらないハッピーエンド
終わるのは 哀しいから

終わりなのに 繰り返す
繰り返し 繰り返し
続いて繰り返す ハッピーエンド
まるで 繰り返し文のように
狂った幻のように

終わりなのに 繰り返す
繰り返し 繰り返し
続いて繰り返す ハッピーエンド
まるで 繰り返し文のように
優しい悪夢のように

終わりなのに 繰り返す
繰り返し 繰り返し
続いて繰り返す ハッピーエンド
まるで 繰り返し文のように
狐の仮装のように

それでもいつかは
終わるんだ
それは 本当の終わり
そういうことに
なっているから
ハッピーでも 哀しくても
いずれでも
そういうことに
なっているから

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