心 の 隙 間 か ら 出 て お い で
雨の幻想子守唄
2006-02-26 Sun 13:29
他人の家の軒先で、猫は、ただじっとたたずんだまま、雨のメトロノームが奏でる独演会に耳を澄ませていた。
それがどこであろうとも、雨の音符を聴けば猫は思い出すことができた。
あの時の雨、あの時の雨宿り、あの時ぼろぼろだった傘のことを…。
あの時もし晴れていたなら、冷たい雨のど真ん中で傘をさしてただ何かを待ち続けていた女の面影を、今思い出すこともできなかっただろう。
だから、雨で良かったんだ。
雨は、時に風景を強く印象付けることができるのだ。
雨の独演会はよりいっそう激しさを増し、すべての騒音を消し去ろうとしていた。
けれども、猫は心地良さそうに目を閉じて聴き入っている。
雨の幻想子守唄を聴く猫のような横顔だった。


しくしくと
窓を叩く
雨の幻想曲が
私の今の子守唄
眠りの中まで
染み込んで
私の中で
歌い始める
悲しいことも
泣きたいことも
すべて
洗い流してくれる
恵みの雨が 通った後で

ちくちくと
ガラスを叩く
雨の殴り書きが
私の今の子守唄
記憶の 通り道に
入り込んで
私の体を
突き抜ける
うれしいことも
楽しいことも
すべて
洗い流してしまう
憂いの雨が 通った後で

雨が私を 
駆け抜けた時
すがすがしく 泣き止んだ
私の体は 目を覚ます
もうみんな 過去のこと
今からまったく
新しい自分

はじめまして

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