猫の額に海が浮かぶ
2006-02-19 Sun 14:00
星を見失った占い師のような横顔で、
猫は、足早に通り過ぎる夕方の人々の靴音を聞いていた。
一時間前に止んだ雨が、また降り始めた。
だからなんだという顔をして、猫はまた下を向いた。


猫の額は
海のように 広くなって
海は人の 心のように
狭くなって
子犬は 縫いぐるみみたいに
おとなしくなって
縫いぐるみは 子犬みたいに
動き回って
ネズミは狐色 狐は柿色で
狸はひとつも眠らない
それでも あの空は
あの日の空とは
それほどには 変わらないのだ
それでも あなたの心は
ずっと 覚えているのだ
だからなのだ だからなのだ

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