2006-01-02 Mon 14:07
紙くずの勇者を乗せた紙船には舵も羅針盤もなかった。
「宙を舞う意志はあるんだし、そのための風もあるんだし」
けれども、風はいつもよりも緑色をしていて、紙船には折り目もなかった。
緑の風が運ぶ横殴りの雪の中を、紙くず船は星を縫うように、雪をかき分け、
ふわふわとしたスピードで、揺れるように空を飛んでいた。
「まだ遅くはないんだし、もう遅くもないんだし」
それでも、雪の空の日はすっかり暮れかかっていて、風の中からまた風が、
今度はよりいっそう緑がかって吹き付けてくるのだった。
みぞれに近い雪が紙船を取り囲み、もてあそぶ中、
なおも、船は国境に近い駅も越えて飛んでいった。
「もう日は沈んでるんだし、それでも気持ちははずんでるんだし」
翼もない紙船は、雪船になっても飛び続けていた。
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