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フルスイング

アイスホッケーなど、したことはなかった。
なのに猫は、アイスホッケーをしていた。
だから猫は、とても下手だ。

パス! パス! パス!

声に応えて猫は、パスを出すが通らない。
イメージは通っているのだが、実際は通らない。
猫は、地を這う生き物を追いかけるように追いかける、追い続ける。

今度は、猫にパスが来る。
やっとチャンスは巡ってきたか……。
けれども、空振り。
その勢いで、目が覚める。


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「起きろ」

「起きろ! 起きろ!」

目覚まし時計が連呼している。
まるで選挙演説のようだった。

 (言われなくてもわかってるよ

猫はわかっていた。
人から言われて何かをするのが、
何よりも嫌いだということを。

「起きろ! 起きろ!」

時計は猫の気持がわからなかった。
まるで選挙演説のように。

 (わかってるよ

猫は誰よりもわかっていた。
次に自分の取る行動を。

猫は、目覚まし時計を手に取って、
窓から外へ放り投げた。

 (誰にも、当たりませんように

猫は手を合わせて祈った。
何か悪いことが、起きる予感がして、
夏の朝に、少し震えた。



真実目覚まし時計

恩知らずな鶴のような横顔で、
猫は雪の枕に頭をのせて眠っていた。
夜明けのモグラが真実を掘下げているような目覚まし時計の音が、
午前7時を告げた。
猫は、ゆっくりと真実の中に目を覚まし始めた。

忍者の目覚まし時計

オムレツの中に隠れ込もうとする忍者のような横顔で、
猫はジェットニンジンを枕にして眠っていた。
傷ついた忍者が心の手裏剣を投げる時のカサカサという目覚ましの音が、
午前7時を告げた。
猫は、傷ついて飛んでくる音を避けるように、何度も首を動かした。

鬼の豆鉄砲

鬼の角を枕にして眠る勇者のような横顔で、
猫はチョコ棒を枕にして眠っていた。
鬼が豆鉄砲を放つ音に良く似た目覚まし時計の音が、
午前8時を告げた。
朝が、ゆっくりと鬼の角の色に染まり始めた。

最初の風音

長靴を履き違えた猫のような横顔で、
長靴を枕にして、猫は眠っていた。
ライオンが鬣を乾かす時の風音のような目覚ましの音が朝を告げた。
朝が小刻みにステップを踏み始めると、
猫は、今日最初の産声をあげた。

イルカ音符

寝れない寝袋で眠るお姫様のような横顔で、
猫は眠りながら心の日記をつけていた。
うたた寝したイルカにそっと毛布をかけるような目覚ましの音が、
静かに朝の音符を運んできた。
猫の一ページはまだ始まらなかった。

雨のざわめき

一瞬の長雨と、赤い白鳥を夢に見ながら猫は一人ぼっちで眠っていた。
帆掛け舟の上に舞い降りた千羽鶴のざわめきのような、
目覚ましの音が、船出の時を告げるように、出発の時を告げた。
夢の中の白鳥もざわめき始め、それに合わせて猫は寝返りをうった。

カッチカッチ

アルファベットを暗記しながら、
アルファベットの大の字になって、猫は眠っていた。
心のホッチキスを留めるような、
カッチカッチという目覚ましの音が朝を告げた。
カッチカッチとがんじがらめの一日が始まった。
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junsora(望光憂輔)

Author:junsora(望光憂輔)

おかしな比喩を探し求める内に
いつしか詩を書きはじめました
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今日も散らばって行こう
いつも破り捨てられても

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「喜多さん、いいとこばっかじゃねえか」

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『ウィキペディア』












































 

「行き先のないバスに乗って
 あてのない旅をしています」

「僕たちは心の旅をまだ
 始めたばかりなんです」



「この場所は自由な場所。
 本当に自由すぎる」
「でもまだ足りないんです」





「春の足音を、
 しばらく前に、聞きました。
 私はもうとけてゆきます」
「大いなる誤解が
 とけていく速度で…」






『落書き』

偶然たどり着いたこの場所
あなたは何を探していたのです

求めるものと目の前にあるもの
それはどれほど違っていても
みかんの色は変わるのです

あなたという存在が
あなたを囲む海や人や森が
歌い励まし騙し傷つける頃
空想の世界の中で
生まれ変わるならば
いつかそれは
求めるものと同じであったか
近づいていくこともあるのでしょう

偶然目に触れた落書きに
こんなことが書いてあるとは
思わなかったでしょう
だからそれを望んで
これを書いたのです

少し時間を
無駄にさせてしまったね






『空白の壁ときみ』

壁が空いているから
ここを詩で埋めようかな

何も書くことはないけれど
何もない時だって
詩を書いていいんだよ

何もなくても
聴きたいときがある
きみの声を

点滅するバスは
行き先を決めかねているけど
もう詩は出発したよ

年中融けない雪だるまが
上で見てるんだ
これでまた融けにくくなった

壁が空いているから
サンドイッチのない詩を
猫に内緒で書いてる

見つかると嫉妬するからね

寝静まった頃静かに書いて
きみもやっぱり静かに読む

見知らぬきみ
またここで落ち合おう

きみの空いてる時間にね






『そんな横顔』

獣のような 大声で
どこかで 叫んだケダモノ
気高さを保ったまま
毛玉を嫌う ケダモノ
そんな生き物が いるのだろうか

僕らは 
不思議な生き物を見るような目で
不思議な生き物を眺めるんだ

1000年前から生きてるみたいに
落ち着いて 慌てない
何でも知ってるような
そんな横顔で
質問には 答えることもない

それでも 僕らは
昨日生まれた ばかりのような
そんな横顔 してたんだから
不思議な生き物 眺めるような
そんな横顔 してたんだから






『片隅』

ノートの片隅に
詩を書いている
誰に見せる
あてもない

頭の片隅に
詩を留めている
未だ現れる
気配はない

カフェの片隅で
詩を書いている
誰に会う
約束もない

世界の片隅で
詩と向き合っている
そうしていると
寂しくもない






『できそこない道』

完成することのない
できそこない道を
僕は歩いている

進んでいるのか
戻っているのか
それさえわからない

それでもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている

つまずくことばかり
挫けることばかり
たどりつくこともない

どこにもかえれない
できそこない道を
僕は歩いている






『なきうた』

理由もなく
泣きたくなるのです

二月が終わる頃になると
遥かなる距離を越えて
オレンジの光が
届いたのを知った時

理由もなく
泣きたくなるのです

小さな息吹が
青白い風の中に
溶け込む匂いを知った時

私は生まれるよりも
遥か前のことを
思い出しながら

理由もなく涙を流し
歌わねばならない
という理由において
歌うのです

遠い過去の人である
私の声が
あなたの元へ届く日を
想像したりしながら
























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